6-6. 一本鎖ファージ:M13
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1) 概要と増殖
一本鎖環状DNAファージのうちM13, f1, fdは同じグループに属する繊維状ファージでF因子がつくる性線毛に付着して感染する
このため宿主菌はF+(F'を含む)かHlfに限られる
M13ファージは約6,400塩基のDNAをもつ
感染後、DNAが性線毛を通って細胞内に入ると、二本鎖環状のプラスミド状DNA(複製中間体:RF(replicative form))ができ、ローリングサークルの様式でDNAが複製し、大量のRFができる
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一方RFからは一本鎖環状ファージDNAもつくられる
ファージDNAの複製(RFから一本鎖を生成する過程)とパッケージングに必要な領域は、IG領域(intergenic region)にまとまって存在する
2) 利便性
殻タンパク質はいくらでも大きな多量体になれるため、パッケージングDNAのサイズには制限がない
また、細菌の細胞膜をあまり傷つけずにファージがヒモのように出てくるため、感染菌がすぐに死ぬこともない
感染細胞から調製したRFはプラスミド状のため、そのまま制限酵素処理できる
培養液中に放出されたファージの一本鎖DNAは、シークエンシングやDNA合成、さらには変異DNA作製のための鋳型として利用できる
memo: ファージミドとヘルパーファージ
プラスミドに人為的にIG領域をもたせたものをファージミドという
e.g. pUC119, pBluescript
これをもつ菌に、M13やf1由来の誘導体ファージをヘルパーファージ(パッケージングされにくい)として感染させると、ヘルパーファージタンパク質がIG領域に働き、プラスミドから一本鎖DNAがつくられ、それをファージとして回収することができる(ファージのたたき出し)
IG領域の向きによって、プラスミドのどちらの鎖がファージに入るかが決まる
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